⑰ 不登校から回復した家庭に共通すること(理論編)
- 1. はじめに
- 2. 「学校へ戻すこと」だけを回復の基準にしない
- 2.1. 回復は家庭の中から始まることがある
- 2.2. 元の状態に戻ることだけが回復ではない
- 2.3. 「その子なりの前進」を見る
- 3. 子どもを動かす前に「安心できる家庭」を取り戻している
- 3.1. 毎日、不登校について話さない
- 3.2. 親子関係を「管理する人・される人」にしない
- 3.3. 安心は「何もしなくていい」という意味ではない
- 4. 子どもの小さな変化を急いで「次」につなげない
- 4.1. 一歩進んだ時ほど急がない
- 4.2. 後戻りに見える日があっても慌てない
- 4.3. 「できた実績」をプレッシャーに変えない
- 5. 親だけで抱え込まず、外とのつながりをつくる
- 5.1. 親にも相談できる相手が必要
- 5.2. 子どもにも「親以外の大人」がいる
- 5.3. 支援者を増やし過ぎない
- 6. 「本人が選ぶ力」を少しずつ取り戻していく
- 6.1. 小さな選択から始める
- 6.2. 進路も「本人と一緒に」考える
- 6.3. 回復の先にあるのは「自分で人生を選べること」
- 7. まとめ
- 7.1.1. 実際の例はこちらから
はじめに
子どもの不登校が長くなると、保護者はふと考えることがあります。
「この状態から、本当に変わる日が来るのだろうか。」
最初は数日の欠席だった。
それが一週間になり、一か月になった。
生活リズムも崩れてきた。
勉強にも手がつかない。
友達とも会わなくなった。
部屋で過ごす時間も増えた。
そんな状態が続くと、数か月先、数年先まで今の状態が続くように感じてしまうことがあります。
一方、不登校の状態から少しずつ動き始める子どももいます。
朝起きられる日が増える。
家族との会話が戻る。
好きなことを始める。
勉強に少し触れる。
外へ出る。
家庭教師や支援者と話す。
進路について考え始める。
そして、学校へ戻る子もいれば、別の学校や通信制高校、学びの場など、自分に合った道へ進んでいく子もいます。
では、そのような変化が生まれた家庭には、何か特別な共通点があるのでしょうか。
もちろん、不登校の原因も回復までの道のりも一人ひとり違います。
「これをすれば必ず回復する」という方法があるわけではありません。
それでも、子どもが少しずつ動き出しやすい家庭には、いくつか大切にされている考え方があります。
その中心にあるのは、
「子どもを早く元に戻そうとすること」より、「今の子どもが安心して次の一歩を考えられる環境をつくること」です。
「学校へ戻すこと」だけを回復の基準にしない
不登校になると、どうしても登校できたかどうかで状態を判断したくなります。
「今日は学校へ行けなかった。」
「今週も一日も登校できなかった。」
そう考えると、毎日が「できなかった日」になってしまいます。
しかし、子どもの変化は登校だけに現れるわけではありません。
回復は家庭の中から始まることがある
例えば、
以前より表情が柔らかくなった。
家族と一緒に食事をするようになった。
自分から話しかけるようになった。
ゲーム以外のことにも興味が出てきた。
少し外へ出られた。
教科書を開いた。
将来について話した。
こうした変化も重要です。
外から見ると「まだ学校へ行っていない」状態でも、本人の内側では変化が始まっていることがあります。
元の状態に戻ることだけが回復ではない
「回復」という言葉から、
以前と同じ時間に起き、
以前と同じ学校へ通い、
以前と同じ生活に戻る、
という姿を想像するかもしれません。
しかし、不登校を経験した子どもが以前とまったく同じ状態に戻る必要はありません。
自分に合った学び方を知る。
苦しくなった時に休めるようになる。
誰かに助けを求められるようになる。
自分の気持ちを言葉にできるようになる。
こうした変化も大きな回復です。
「その子なりの前進」を見る
他の不登校経験者と比べる必要もありません。
「あの子は三か月で学校へ戻った。」
「同じ学年の子はもう高校を決めた。」
という比較は、親子の焦りを強めることがあります。
見るべきなのは、
「一か月前のこの子と比べて、何が変わったか」
です。
その子自身の変化を見ることが大切です。
子どもを動かす前に「安心できる家庭」を取り戻している
子どもが動き始めやすい家庭では、家庭そのものが安心できる場所になっていることが重要です。
毎日、不登校について話さない
親が心配になると、
「明日は学校どうする?」
「勉強は?」
「先生に連絡する?」
「これからどうするつもり?」
と聞きたくなります。
しかし、毎日の会話が不登校についてばかりになると、子どもは家庭でも休めなくなります。
不登校とは関係のない会話をすることも大切です。
テレビ。
ゲーム。
食事。
趣味。
天気。
家族の出来事。
何でも構いません。
「不登校の自分」ではなく、ただ家族の一員として過ごせる時間
が必要です。
親子関係を「管理する人・される人」にしない
何時に起きた。
何時間ゲームをした。
何分勉強した。
今日は外へ出たか。
こうしたことをすべて親が管理すると、子どもは常に評価されているように感じることがあります。
もちろん、生活上必要なルールはあります。
しかし、すべてを管理するのではなく、本人が自分で決める部分を少しずつ増やしていくことが大切です。
安心は「何もしなくていい」という意味ではない
子どもを安心させることと、すべてを放置することは違います。
必要な生活上のルールは伝える。
困っていることがあれば一緒に考える。
必要なら学校や支援機関とも連携する。
ただし、
「今すぐ変わりなさい。」
ではなく、
「必要になったら一緒に考えよう。」
という関係をつくります。
子どもの小さな変化を急いで「次」につなげない
回復の過程で特に大切なのが、小さな変化を大人が急いで大きくし過ぎないことです。
一歩進んだ時ほど急がない
例えば、久しぶりに朝早く起きた。
すると、
「今日は学校へ行けるんじゃない?」
と言いたくなります。
久しぶりに勉強した。
すると、
「明日から毎日やろう。」
と言いたくなります。
外へ出られた。
すると、
「次は学校まで行ってみよう。」
と言いたくなります。
しかし、この「次はもっと」が子どもにとって負担になることがあります。
一つできたら、その一つをそのまま受け止める。
それが大切です。
後戻りに見える日があっても慌てない
昨日は元気だった。
今日は部屋から出てこない。
先週は勉強できた。
今週は何もしていない。
一度学校の近くまで行けたのに、その後また行けなくなった。
こうしたことは起こり得ます。
回復は、一直線に進むとは限りません。
進む。
止まる。
少し戻る。
また進む。
そうした波を繰り返すことがあります。
「できた実績」をプレッシャーに変えない
「この前できたでしょう。」
という言葉には注意が必要です。
大人は励ましているつもりでも、子どもには、
「一度できたことは、これからもできなければいけない。」
と聞こえることがあります。
昨日できたことが今日できなくてもいい。
その余裕がある方が、再び挑戦しやすくなります。
親だけで抱え込まず、外とのつながりをつくる
不登校が長期化すると、保護者自身も疲れていきます。
子どもの将来。
学校との連絡。
生活リズム。
勉強。
進路。
家族関係。
これらを一人で考え続けるのは大きな負担です。
親にも相談できる相手が必要
子どもだけでなく、保護者にも相談相手が必要です。
学校。
スクールカウンセラー。
教育相談機関。
医療機関などの専門家。
家庭教師。
その他の支援者。
状況に応じて、利用できるところとつながっておくことが大切です。
相談することは、
「家庭だけでは何もできない。」
という意味ではありません。
家庭だけですべてを解決しようとしないことが重要なのです。
子どもにも「親以外の大人」がいる
思春期になると、親だからこそ話せないことがあります。
そんな時、
学校の先生。
カウンセラー。
家庭教師。
支援者。
など、家族以外に安心して話せる大人がいることが助けになる場合があります。
子どもを囲い込むのではなく、少しずつ信頼できる人とのつながりを増やしていきます。
支援者を増やし過ぎない
一方で、
「早く何とかしなければ。」
と焦って多くの支援を一度に入れると、子どもが疲れることがあります。
学校との面談。
カウンセリング。
家庭教師。
塾。
病院。
支援施設。
すべてを一度に始める必要はありません。
「今、この子に必要なつながりは何か」
を考えながら増やしていくことが大切です。
「本人が選ぶ力」を少しずつ取り戻していく
不登校からの回復を考えるうえで、非常に大切なのが「自分で選ぶ」という感覚です。
学校へ行けなくなるまで、子どもはさまざまな「しなければならない」の中で生活していたかもしれません。
朝起きなければならない。
学校へ行かなければならない。
授業を受けなければならない。
宿題をしなければならない。
テストを受けなければならない。
その中で疲れてしまった子どもにとって、自分で決められる感覚を取り戻すことは大切です。
小さな選択から始める
「今日は何を食べたい?」
「散歩する?それとも家にいる?」
「数学と社会なら、どちらをやってみる?」
「先生とは電話と対面、どちらが楽?」
こうした小さな選択でも構いません。
自分で決める。
やってみる。
合わなければ変える。
その経験を積み重ねます。
進路も「本人と一緒に」考える
不登校が長くなると、保護者は進路を急いで決めたくなります。
しかし、
「この学校なら不登校でも大丈夫らしい。」
という理由だけで大人が決めるのではなく、本人と一緒に考えることが大切です。
何を学びたいのか。
どんな環境なら通いやすいのか。
毎日通う形が合っているのか。
どのくらい人との関わりがある方がよいのか。
本人の希望を聞きながら選択肢を探していきます。
回復の先にあるのは「自分で人生を選べること」
最終的に大切なのは、
「学校へ行けるようになった。」
という一つの結果だけではありません。
困った時に休める。
必要な時に助けを求められる。
自分に合わない環境から距離を取れる。
必要なことを学び直せる。
そして、自分で次の道を選べる。
そうした力を少しずつ取り戻していくことです。
まとめ
不登校からの回復に、決まった一本道はありません。
数週間で学校へ戻る子もいます。
長い時間をかける子もいます。
元の学校へ戻る子もいれば、別の学校や別の学び方を選ぶ子もいます。
だから、
「学校へ戻ったかどうか」だけで回復を判断しないこと
が大切です。
家庭で笑うようになった。
家族と食事をするようになった。
生活リズムが少し整った。
好きなことを始めた。
外へ出られた。
誰かと話せた。
一問だけ勉強できた。
将来について少し話した。
「こうしたい」と自分の希望を言えた。
その一つひとつが変化です。
そして、そのような変化が生まれやすい家庭では、
子どもを急いで動かそうとしない。
一つできても、すぐ次を求めない。
できない日があっても責めない。
親だけですべてを抱え込まない。
必要な人の力を借りる。
そして、少しずつ本人に選択を返していく。
そうした関わりが大切にされています。
不登校になると、保護者は、
「どうすればこの子を動かせるだろう。」
と考えます。
しかし、子どもが本当に動き始めるために必要なのは、大人が外から強く動かすことだけではありません。
「自分から動いてみよう」と思えるだけの安心とエネルギーを取り戻すことです。
昨日より少し話せた。
前より少し笑った。
久しぶりに外へ出た。
「これをやってみたい」と言った。
そんな小さな変化を見逃さない。
そして、その変化をすぐに大きくしようとしない。
子どもが立ち止まったら、一緒に立ち止まる。
動き始めたら、その速度に合わせて進む。
必要な時には、学校や専門家、家庭教師など周囲の力も借りる。
そうしながら、少しずつ、
「自分の生活を自分で動かせる感覚」
を取り戻していく。
不登校からの回復とは、単に以前の生活へ戻ることではありません。
子どもが自分に合った生き方や学び方を見つけ、もう一度自分の未来を選べるようになっていくこと。
そのための土台を家庭の中につくっていくことが、長い目で見た時にとても大切なのです。
実際の例はこちらから
⑰ 不登校から回復した家庭に共通すること(実践編)
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学校に行けないお子さんのための家庭教師
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