不登校は「甘え」では説明つかないことが多い~最初に知ってほしいこと(実践編)
はじめに
本当に学校へ行けないんでしょうか。それとも、私が甘やかしてしまっただけなんでしょうか……。
この言葉は、不登校のお子さんを持つ保護者から何度も聞いてきた相談の一つです。
やっぱり私が悪いのかもしれない・・・。
そんなことはないですよ。
学校行くのが普通じゃないですか・・・。
普通はそうなんでしょうけどね。いろんな要素があるんで一概には言えないですよ。
ゲームはできるのに、どうして学校へ行けないのでしょうか?
🔴 保護者
「先生、今日はよろしくお願いします。」
🔵 講師
「こちらこそよろしくお願いします。今日はどんなことでも遠慮なくお話しください。」
🔴 保護者
「実は、息子が三か月くらい学校へ行けていません。」
🔵 講師
「三か月ですか。それはお母さんも本当に大変でしたね。」
🔴 保護者
「最初は風邪かなと思っていたんです。でも朝になると『お腹が痛い』『頭が痛い』と言って起きられなくなって……。」
「病院へ連れて行っても特に異常はありませんでした。」
🔵 講師
「そうだったんですね。」
🔴 保護者
「でも、不思議なんです。」
「学校を休んだあとしばらくすると普通に起きてきて、ご飯も食べます。」
「午後にはゲームもしていますし、YouTubeも見ています。」
「友達から連絡が来れば楽しそうに話していることもあります。」
「だから私は、『本当は行けるんじゃないの?』『学校だけ嫌なんじゃないの?』と思ってしまうんです。」
🔵 講師
「そう思ってしまうお気持ちは、とても自然ですよ。」
🔴 保護者
「正直に言うと、腹が立ってしまうこともあります。」
「主人も『ゲームができるなら学校へ行けるだろう』と言っています。」
「私も何度も『みんな頑張って行ってるんだから』と言いました。」
「でも、そのたびに部屋へ閉じこもってしまって……。」
「最近はほとんど会話もしなくなりました。」
そう話すお母さんの目には、涙が浮かんでいました。
怒ってしまったことへの後悔と、どうしていいか分からない不安が入り混じっていたのです。
「学校へ行かせること」よりも大切なこと
「学校へ行きたいのに、行けない子」がいます
🔵 講師
「お母さん、一つ質問してもいいですか。」
🔴 保護者
「はい。」
🔵 講師
「息子さんは、『学校なんてどうでもいい』と言っていますか?」
🔴 保護者
「……いいえ。」
「むしろ、『みんなは授業を受けているんだよね。』『勉強が遅れるよね。』と、時々つぶやいています。」
「テストの日になると落ち込んでいることもあります。」
🔵 講師
「その言葉を聞いて、お母さんはどう感じましたか。」
🔴 保護者
「学校のことは気にしているんだなとは思いました。でも、それなら行けばいいのに……とも思ってしまいました。」
🔵 講師
「そこが、不登校を理解する上で一番難しいところなんです。」
「多くの人は、『行きたくない』と『行けない』を同じだと考えます。」
「しかし実際には、学校へ行きたい気持ちはあるのに、心や体が動かなくなってしまう子どもがたくさんいます。」
🔴 保護者
「本当にそんなことがあるんでしょうか。」
🔵 講師
「あります。」
「例えば、大人でも強いストレスを感じる職場へ向かおうとすると、お腹が痛くなったり、頭痛がしたり、眠れなくなったりすることがありますよね。」
🔴 保護者
「……あります。」
「私も以前、人間関係で悩んでいたとき、会社へ向かう電車の中で気分が悪くなったことがあります。」
🔵 講師
「まさに、それと同じような状態なんです。」
「本人は『行かなければ』と思っています。」
「でも心が限界に近づくと、体が『もう無理だよ』というサインを出します。」
「腹痛や頭痛は、仮病ではなく、本当に体に現れている反応であることも少なくありません。」
🔴 保護者
「そう言われると……息子は朝だけ具合が悪くなるんです。」
「休日や夕方になると、少し元気になることが多いです。」
🔵 講師
「それも、不登校のお子さんによく見られる特徴の一つです。」
「安心できる環境では心が少し休まり、本来の笑顔が戻ることがあります。」
「だからこそ、家で笑っている姿だけを見て『元気なんだから学校へ行ける』と判断してしまうと、子どもの苦しさを見落としてしまうことがあるのです。」
保護者は、しばらく黙ったまま考え込んでいました。
これまで「甘え」だと思っていた見方が、少しずつ変わり始めていたのでした。
「学校へ行かせること」よりも大切なこと
「学校へ行かせること」よりも大切なこと
保護者は、しばらく考え込んでいました。
これまで「甘え」だと思っていた見方が、本当に正しかったのだろうか。
そんな思いが頭の中を巡っていました。
しばらく沈黙が続いたあと、お母さんが静かに口を開きました。
🔴 保護者
「先生……私は、この子を傷つけてしまっていたのかもしれません。」
🔵 講師
「どうしてそう思われたのですか。」
🔴 保護者
「私は毎日のように言っていました。」
『いつまで休むの?』
『今日は行けそう?』
『ゲームはできるのに、学校は行けないの?』
『このままじゃ将来困るよ。』
「本人のためを思って言っていたつもりなんです。でも今思えば、責める言葉ばかりだったような気がします。」
🔵 講師
「お母さんだけではありません。不登校のお子さんを持つ保護者の多くが、同じような言葉をかけています。」
「それだけ、お子さんの将来を心配しているということですから。」
🔴 保護者
「でも、そのたびに息子は黙ってしまいました。」
「最近では、私が部屋へ入るだけでイヤホンをつけるようになってしまって……。」
🔵 講師
「それは、お母さんが嫌いになったわけではないと思います。」
🔴 保護者
「えっ……?」
🔵 講師
「子どもは、『また学校の話になるかもしれない』と身構えてしまうんです。」
「学校という言葉を聞くだけで苦しくなる子もいます。」
「だから、自分を守るために距離を取ってしまうことがあるんです。」
お母さんは目を丸くしました。
これまで「反抗期だから」「親を避けているだけ」と思っていた行動に、別の理由があるかもしれないと初めて気づいたのです。
🔵 講師
「私が以前担当した生徒さんにも、よく似たケースがありました。」
🔴 保護者
「そうなんですか?」
🔵 講師
「はい。お母さんは毎朝『今日は行ける?』『頑張ろう』と声をかけていました。」
「決して責めているつもりではありませんでした。」
「でも、その子にとっては、その一言が毎朝プレッシャーになっていたんです。」
🔴 保護者
「励ましているつもりでも、そう受け取ってしまうことがあるんですね……。」
🔵 講師
「あります。」
「そこで私は、お母さんに一つだけお願いしました。」
『一週間だけ、学校の話をやめてみませんか。』
🔴 保護者
「それだけですか?」
🔵 講師
「はい。それだけです。」
「そして代わりに、その日にあった何気ない話をしてください、とお願いしました。」
『今日の夕飯は何が食べたい?』
『テレビで面白い番組があったよ。』
『コンビニで新しいアイスが出てたよ。』
そんな、本当に他愛のない会話だけです。」
🔴 保護者
「学校の話をしなくてもいいんですか?」
🔵 講師
「最初は、それでいいんです。」
「子どもにとって家庭が『安心できる場所』になることが、回復への第一歩だからです。」
🔴 保護者
「でも、学校のことを何も言わなかったら、このままずっと行かなくなってしまう気がして怖いんです。」
🔵 講師
「その不安は当然です。」
「私も保護者なら、同じことを考えると思います。」
「ですが、考えてみてください。」
「足を骨折した人に、『早く走らないと筋力が落ちるよ』と言っても走れませんよね。」
🔴 保護者
「確かに……。」
🔵 講師
「まずは骨が治ることが先です。」
「心も同じなんです。」
「疲れ切った状態では、頑張る力そのものが残っていません。」
「だから最初に必要なのは、頑張らせることではなく、安心して休める環境なんです。」
🔴 保護者
「私はずっと、『休ませたら甘えになる』と思っていました。」
🔵 講師
「実は、その逆なんです。」
「十分に休めなかった子ほど、長引いてしまうケースも少なくありません。」
「安心して休めるようになると、少しずつ外へ出てみようかな、勉強してみようかな、という気持ちが自然に生まれてきます。」
「これは誰かに言われて動くのではなく、自分自身の力で前へ進もうとする大切な一歩なんです。」
理解することが、親子の未来を変えていく
面談も終わりに近づいた頃、お母さんは少し表情が柔らかくなっていました。
🔴 保護者
「先生、今日お話を聞いて、本当に考え方が変わりました。」
「私は学校へ行かせることばかり考えていました。」
「でも、息子は学校へ行かないことを楽しんでいたわけじゃなかったんですね。」
🔵 講師
「そうですね。」
「むしろ、多くの子どもは誰よりも苦しんでいます。」
「友達のことも、勉強のことも、将来のことも考えています。」
「だからこそ、『甘えている』と言われることが、一番つらい場合もあるんです。」
🔴 保護者
「今日家に帰ったら、学校の話はやめてみます。」
「まずは『今日も一日お疲れさま』と言ってみようと思います。」
🔵 講師
「その一言だけでも十分です。」
「子どもは、『自分を理解してくれる人がいる』と感じられると、少しずつ安心を取り戻していきます。」
「焦らなくても大丈夫です。」
「回復には時間がかかることもあります。しかし、その時間は決して無駄ではありません。」
「家庭が安心できる場所になれば、子どもは自分の力で少しずつ前へ進み始めます。」
🔴 保護者
「今日は相談に来て、本当に良かったです。」
「息子を変えようとする前に、まず私自身の見方を変えてみます。」
🔵 講師
「それが何より大きな第一歩です。」
「子どもは、理解してくれる大人が一人いるだけで救われることがあります。」
「どうか、『学校へ行けるかどうか』だけでお子さんを判断しないでください。」
「その子には、その子のペースがあります。」
「その歩みを信じ、寄り添い続けることが、未来を取り戻すための一番の近道なのです。」
おわりに
不登校は、「甘え」という一言では決して語れません。
その背景には、子ども自身も言葉にできない不安や苦しみ、そして心の疲れが隠れていることがあります。
大切なのは、「学校へ行かせる方法」を急いで探すことではなく、「なぜ行けなくなったのか」を理解しようとする姿勢です。
理解されることで、子どもは少しずつ安心を取り戻します。
そして、その安心感こそが、自分の力で未来へ踏み出すための土台になります。
焦らなくても大丈夫です。
今日からは、「どうすれば学校へ行けるか」ではなく、「どうすればこの子が安心して笑えるか」を考えてみてください。
その積み重ねが、親子の未来を大きく変えていくはずです。
理論編はこちらから
不登校は「甘え」では説明がつかないことが多い~最初に知ってほしいこと(理論編)
はじめに 子どもが学校へ行けなくなると、多くの保護者は最初にこう考えます。 「怠けているだけでは?」「少し無理をさせれば行けるのでは?」「このまま休ませてしまって大丈夫なのだろうか。」 しかし、長年不登校の子どもたちと関 […]
学校に行けないお子さんのための家庭教師
不登校のお子さんのことで悩まれている方からのご相談が増えています。
無理に勉強を始める必要はありません。
まずは今の状況をお聞かせください。
【ご相談の流れ】
① メール・電話・LINEでご相談
② 現在の状況をヒアリング
③ お子さんに合った進め方をご提案
※ご相談だけでも大丈夫です
※無理な勧誘は一切ありません






