「先生ならどう考える?」と問い続けた生徒との対話 ~答えを押し付けるのではなく、一緒に考える支援~(理論編)

「先生ならどう考える?」と問い続けた生徒との対話 ~答えを押し付けるのではなく、一緒に考える支援~

はじめに

「生きる意味が分からない。」
「人はなぜ生きるの?」
「幸せって何?」

こうした問いは、多くの人が一度は考えたことがあるでしょう。

しかし、中にはその疑問があまりにも大きくなり、毎日の生活が苦しくなってしまう人もいます。

以前ご紹介したケースでは、生徒の話をひたすら聴き続ける「傾聴」を中心に支援を行い、生徒自身が答えを見つけていく形でした。

しかし、今回紹介する生徒は少し違いました。

「先生ならどう考える?」
「先生だったらどうする?」
「その考えの根拠は?」

と、こちらの考えを何度も求めてくるタイプだったのです。

今回は、このような「答えを一緒に考える支援」についてお話しします。


傾聴だけでは十分ではない場合もある

カウンセリングでは「傾聴」がとても大切だと言われます。

相手の話を否定せず、評価せず、安心して話せる環境を作ることで、自分自身の気持ちを整理していく方法です。

もちろん、この方法で大きく前進する人はたくさんいます。

しかし、人によっては

「話を聞いてもらうだけでは足りない」

と感じることがあります。

特に論理的に物事を考える人や、「考えること」が好きな人は、自分の考えだけでは堂々巡りになってしまうことがあります。

そのため、

「別の視点を知りたい」
「他人ならどう考えるのか聞きたい」

という欲求が強くなることがあるのです。


「先生ならどう考える?」は依存ではない

一見すると、

「先生に答えを求めている」

ように見えるかもしれません。

しかし、実際にはそうではありません。

多くの場合、生徒が欲しいのは「正解」ではなく、

新しい考え方

なのです。

例えば、

「人生に意味なんてあるの?」

という問いに対して、

「意味はあるよ。」

と言われても納得できません。

反対に、

「意味なんてないよ。」

と言われても、やはり納得できません。

ですが、

「私はこう考えているよ。」

「こういう見方もあるかもしれないね。」

という一つの視点として伝えることで、

「そんな考え方もあるのか。」

と、生徒の思考の幅が少しずつ広がっていきます。


支援者にも「考える力」が求められる

このような支援では、支援者自身も常に考え続ける必要があります。

「生きるとは何か」
「幸せとは何か」
「努力とは何か」
「自由とは何か」

こうしたテーマについて、生徒から次々と質問されることもあります。

その場しのぎで答えるのではなく、

自分自身も一緒に考え、

「今の私はこう考えている。」

という形で伝えることが大切です。

支援者が万能な答えを持っている必要はありません。

むしろ、

一緒に考え続ける姿勢

そのものが、生徒に安心感を与えることがあります。


「考え方の引き出し」を増やすことが苦しさを減らす

生きづらさを感じている人の多くは、

一つの考え方だけで物事を判断してしまうことがあります。

例えば、

「失敗した=自分には価値がない」

という考えしか持っていなければ、失敗するたびに大きく落ち込んでしまいます。

しかし、

「失敗は経験になる。」

「挑戦したから失敗した。」

「失敗しても人の価値は変わらない。」

という複数の考え方を知ることで、心の負担は少しずつ軽くなります。

人は「正解」を得ることで楽になるのではなく、

考え方の選択肢が増えることで楽になる

ことも少なくありません。


家庭教師だからできる対話

学校では授業時間が限られています。

病院では診察時間があります。

カウンセリングにも時間の制約があります。

しかし、家庭教師は学習だけではなく、一人の生徒と長い時間を共有できます。

勉強の合間に、

人生のこと

将来のこと

人間関係のこと

社会のこと

価値観のこと

について、何時間も話し合えることがあります。

こうした積み重ねが、生徒の考え方を少しずつ柔らかくし、「生きづらさ」の軽減につながるケースもあります。


まとめ

すべての生徒が傾聴だけを求めているわけではありません。

中には、

「先生ならどう考える?」

という問いを通して、新しい視点や価値観を求めている生徒もいます。

そのような場合は、答えを教えることよりも、一緒に考え続ける姿勢が何より大切です。

生きることに正解はありません。

だからこそ、一人で考え続けるのではなく、誰かと対話しながら視点を増やしていくことで、少しずつ心が軽くなることがあります。

それもまた、不登校支援の大切な役割の一つだと私たちは考えています。

実際の例はこちらから

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