⑦ 自己肯定感が下がるメカニズム(実践編)

はじめに

自己肯定感。下がりだすと止めにくい・・・。

私なんか・・・。

どうした?

ムリです・・・。

一旦落ち着こうか・・・。ってそれで落ち着けるくらいなら苦労しないか・・・。

はじめに

「先生、最近この子が『どうせ自分なんて』と言うようになったんです。」

学校へ行けなくなった子どもの変化について、保護者からこのような相談を受けることがあります。

以前は好きなことについて楽しそうに話していた。

友達とも遊んでいた。

将来について「こんなことをやってみたい」と話すこともあった。

ところが、不登校の期間が長くなるにつれて、

「どうせ無理。」

「自分にはできない。」

「やっても意味がない。」

そんな言葉が少しずつ増えていく。

保護者は心配になり、

「そんなこと言わないで。」

「あなたならできるよ。」

「もっと自信を持って。」

と励まそうとします。

しかし、なぜか子どもの表情は明るくならない。

時には、

「お母さんには分からない。」

と言われてしまうことさえあります。

では、子どもの心の中では何が起きているのでしょうか。

今回は、不登校になって数か月が経った中学生と、その保護者とのやり取りを通して、自己肯定感が少しずつ下がっていく過程を見ていきます。

何を言っても『どうせ無理』なんです

🔴 保護者

「先生、今日は息子のことで相談したくて来ました。」

🔵 講師

「もちろんです。最近、何か気になる変化がありましたか。」

🔴 保護者

「学校へ行けなくなったことも心配なんですが、それ以上に気になることがあるんです。」

🔵 講師

「どんなことでしょう。」

🔴 保護者

「自分のことを、すごく悪く言うようになったんです。」

「何か勧めても、すぐに『どうせ無理』って言います。」

「この前も、以前好きだった絵の話をしたんです。」

『また描いてみたら?』

って。」

「そうしたら、

『もういい。どうせ下手だから。』

って言うんです。」

🔵 講師

「以前は絵を描くことが好きだったんですね。」

🔴 保護者

「大好きでした。」

「小学生の頃なんて、一日中描いていることもありました。」

「私が『上手だね』と言うと、うれしそうに見せに来てくれていたんです。」

「それが今では、『どうせ自分なんて何をやってもダメだから』って……。」

お母さんは、そこで少し言葉を止めました。

🔴 保護者

「学校へ行けなくなっただけで、こんなに自信を失ってしまうものなんでしょうか。」

🔵 講師

「学校へ行けなくなったことだけが原因とは限りません。」

「ただ、学校へ行けない状態が続く中で、自分を否定する材料が少しずつ増えてしまうことはあります。」

🔴 保護者

「自分を否定する材料……ですか。」

🔵 講師

「例えば、お子さんは学校へ行けないことについて、何か話していますか。」

🔴 保護者

「時々言います。」

『みんなは今ごろ授業を受けてるんだろうな。』

とか、

『もう勉強も全然分からないだろうな。』

とか。」

「友達からメッセージが来ても、最近は返さなくなりました。」

🔵 講師

「どうして返さないのでしょう。」

🔴 保護者

「本人は、『何を話したらいいか分からない』と言っています。」

「友達から『今日学校でこんなことがあった』という話が来ると、つらくなるみたいです。」

🔵 講師

「なるほど。」

「お子さんの中では、学校へ行けないことだけではなく、『友達と同じように生活できていない』という感覚も強くなっているのかもしれませんね。」

🔴 保護者

「そうかもしれません。」

「SNSも最近あまり見なくなりました。」

「以前、『みんな楽しそうだから嫌になる』と言っていました。」

「学校へ行けない」が「自分はダメ」に変わっていく

🔵 講師

「お母さん、ここにとても大切なポイントがあります。」

🔴 保護者

「はい。」

🔵 講師

「本来なら、

『学校へ行けない』

ということと、

『人間として価値がない』

ということは、まったく別の話ですよね。」

🔴 保護者

「もちろんです。」

「私は、学校へ行けなくても息子は息子だと思っています。」

🔵 講師

「そうですよね。」

「ですが、本人の中では、その二つが少しずつ結びついてしまうことがあります。」

「最初は、

『今日は学校へ行けなかった』

だったものが、

『今日も行けなかった』

になります。」

「それが続くと、

『みんなは行けているのに、自分だけ行けない』

になっていきます。」

🔴 保護者

「……はい。」

🔵 講師

「さらに、

『普通のこともできない自分』

『何をやっても続かない自分』

というように、自分全体を否定する方向へ広がってしまうことがあるんです。」

🔴 保護者

「一つできないことが、全部ダメだという感覚になってしまうんですね。」

🔵 講師

「そうです。」

「例えば数学のテストで一回悪い点を取ったとしても、

『今回は数学の点数が悪かった』

と考えられれば、それほど大きな問題にはなりません。」

「ところが、

『数学ができない』

から、

『勉強ができない』

さらに、

『自分は何をやってもダメだ』

まで広がってしまうと、とても苦しくなります。」

🔴 保護者

「息子は、まさにそんな感じかもしれません。」

「最近、学校と関係のないことまで『自分には無理』と言います。」

🔵 講師

「それは、自分自身を見る目がかなり厳しくなっているのかもしれません。」


「何もしていない」と本人は思っている

🔴 保護者

「この前、息子が言ったんです。」

『俺、毎日何もしてないよね。』

って。」

「でも、実際にはそうじゃないんです。」

「洗濯物を取り込んでくれることもあります。」

「夕飯を作っていると手伝ってくれる日もあります。」

「弟のゲームにも付き合っています。」

「だから私が、

『何もしてないことないよ。いろいろ手伝ってくれてるじゃない。』

と言ったんです。」

「でも、

『そんなの何の意味もない。』

と言われました。」

🔵 講師

「それも、自己肯定感が下がっている時に起こりやすい考え方です。」

🔴 保護者

「どういうことですか。」

🔵 講師

「自分の中の評価基準が、とても狭くなってしまうんです。」

「学校へ行く。」

「勉強する。」

「テストを受ける。」

「友達と普通に過ごす。」

「それが『できている人』の条件になってしまう。」

「だから、家族を手伝ったことや、誰かに優しくしたことは、自分の中では『できたこと』として数えられないんです。」

🔴 保護者

「でも、それってすごくもったいないですよね。」

🔵 講師

「そうなんです。」

「本当は、その子にはたくさんの良いところがあります。」

「優しいところもある。」

「人の気持ちを考えられる。」

「好きなことに集中できる。」

「家族を手伝える。」

「でも、本人にはそれが見えなくなっている。」

「一つの大きな『できない』が、たくさんの『できている』を隠してしまっているような状態です。」

🔴 保護者

「だから私がいくら『あなたには良いところがあるよ』と言っても、本人には届かないんでしょうか。」

🔵 講師

「それもあると思います。」

「お子さん自身が『自分には価値がない』と思い始めていると、周囲から褒められても、その言葉を素直に受け取れなくなることがあります。」

🔴 保護者

「そうなんです。」

「私が『優しい子だよ』と言っても、

『親だからそう言うだけでしょ。』

と言われます。」

🔵 講師

「そういう時は、無理に『あなたはすごい』『もっと自信を持って』と説得しなくてもいいんです。」

🔴 保護者

「では、何と言えばいいんでしょうか。」

🔵 講師

「例えば、お子さんが洗濯物を取り込んでくれた時なら、

『取り込んでくれて助かったよ。ありがとう。』

それだけでいいんです。」

「『あなたは素晴らしい人間だ』と大きく評価するのではなく、実際にしてくれたことを、そのまま言葉にして返します。」

🔴 保護者

「褒めるというより、事実を伝える感じですか。」

🔵 講師

「そうです。」

「『自分がしたことで誰かが助かった』

『自分が話したことで誰かが喜んだ』

『自分にもできることがあった』

という経験を、少しずつ積み重ねていくんです。」


「親に迷惑をかけている」という思い

お母さんは少し考えたあと、もう一つ気になっていたことを話し始めました。

🔴 保護者

「先生、もう一ついいですか。」

🔵 講師

「もちろんです。」

🔴 保護者

「最近、息子がよく謝るんです。」

「何も悪いことをしていないのに、

『ごめん。』

って。」

「私が学校へ連絡したあとにも、

『毎日電話させてごめん。』

と言われました。」

「主人と進路について話していた時も、あとから、

『俺のせいで二人とも大変だよね。』

って。」

🔵 講師

「お子さんは、自分が家族へ迷惑をかけていると思っているのかもしれませんね。」

🔴 保護者

「私は一度もそんなことを言ったことはありません。」

🔵 講師

「言われなくても、子どもは周りをよく見ています。」

「お母さんが学校へ連絡している。」

「両親が自分について話している。」

「先生も心配している。」

「そうした状況を見ながら、

『全部、自分が学校へ行けないからだ』

と考えてしまうことがあります。」

🔴 保護者

「じゃあ、この子は家にいても、ずっと自分を責めているんですね……。」

🔵 講師

「その可能性はあります。」

「だからこそ、これから少しずつ伝えていく必要があります。」

🔴 保護者

「何を伝えればいいでしょう。」

🔵 講師

「『困ったことがあれば家族で一緒に考えればいいんだよ』ということです。」

「そしてもう一つ――」

講師は少し間を置いて、お母さんに問いかけました。

🔵 講師

「お母さんは、お子さんに『学校へ行けなくても、あなたの価値は何も変わらない』ということを、どんな言葉で伝えたいですか。」

お母さんはすぐには答えませんでした。

しばらく考えたあと、ゆっくりと口を開きました。

学校へ行けなくても、あなたはあなた

🔴 保護者

「……『学校へ行けなくても、あなたは私の大切な子どもだよ』でしょうか。」

🔵 講師

「はい。それでいいと思います。」

🔴 保護者

「でも、そんなことを急に言ったら、『何それ』って言われそうです。」

🔵 講師

「そうかもしれませんね。」

「ですから、無理に特別な言葉を用意する必要はありません。」

「大切なのは、一度きりの言葉で自己肯定感を上げようとすることではなく、普段の生活の中で『自分はここにいていい』と感じられる経験を積み重ねることです。」

🔴 保護者

「経験を積み重ねる……。」

🔵 講師

「例えば、お子さんがリビングへ来たら普通に『おはよう』と声をかける。」

「一緒にテレビを見て笑ったら、『これ面白いね』と話す。」

「夕食を食べながら、学校とは関係のない話をする。」

「何か手伝ってくれたら、『ありがとう、助かったよ』と伝える。」

「そういう日常の中で、『学校へ行っていない自分でも、家族の一員として普通にここにいていいんだ』と感じられることが大切なんです。」

🔴 保護者

「私は最近、息子と話すと学校の話ばかりになっていました。」

「『今日は学校から電話があったよ。』」

「『先生が心配してたよ。』」

「『勉強どうする?』」

「『高校はどうする?』」

「考えてみると、全部その話です。」

🔵 講師

「お母さんとしては、当然気になりますよね。」

🔴 保護者

「はい。」

「でも息子からしたら、私と話すたびに『学校へ行けていない自分』を思い出すことになりますね。」

🔵 講師

「そういうこともあります。」

「だから、学校とは関係のない会話も大切にしてほしいんです。」

「好きなゲームの話でもいい。」

「テレビの話でもいい。」

「今日食べたいものの話でもいい。」

「そうした普通の会話の中で、『自分は不登校という問題だけで見られているわけではない』と感じられることがあります。」


「できたこと」を本人に押しつけない

🔴 保護者

「先生、さっき『できたことを見る』という話がありましたよね。」

🔵 講師

「はい。」

🔴 保護者

「例えば、朝十時に起きてきたら、『今日は十時に起きられたね。すごいね』と言えばいいんでしょうか。」

🔵 講師

「それも、お子さんによっては少し注意が必要です。」

🔴 保護者

「どうしてですか。」

🔵 講師

「本人が『みんなは朝七時に起きて学校へ行っている』と思っていたら、『十時に起きただけで褒められる自分って、そんなにダメなのかな』と感じる場合もあるからです。」

🔴 保護者

「ああ……確かに。」

🔵 講師

「だから、何でも大げさに褒めればいいわけではありません。」

「大切なのは、その子が今いる場所から見て、小さな変化を自然に認めることです。」

「例えば、

『今日は少し早かったね。』

『昨日より眠れたみたいだね。』

という程度でも十分です。」

🔴 保護者

「無理に褒めないんですね。」

🔵 講師

「はい。」

「自己肯定感を高めようとして、何でも『すごい』『偉い』と言い続けると、かえって不自然になることがあります。」

「それより、

『見ているよ。』

『分かっているよ。』

『あなたの小さな変化に気づいているよ。』

ということが伝わる方が大切です。」


小さな挑戦が生まれるまで待つ

🔴 保護者

「でも先生、このまま何もしないでいたら、本当に自信は戻ってくるのでしょうか。」

🔵 講師

「何もしないというより、まず『安心できる状態』をつくるんです。」

「安心感が少しずつ戻ってくると、子どもの中から小さな興味が出てくることがあります。」

🔴 保護者

「興味ですか。」

🔵 講師

「例えば、

『ちょっとコンビニに行こうかな。』

『久しぶりに絵を描こうかな。』

『このゲームを最後までやってみようかな。』

『少し勉強してみようかな。』

といったものです。」

「大人からすると、とても小さなことに見えるかもしれません。」

「でも、自己肯定感が下がっている子にとって、『やってみようかな』と思えること自体が大きな変化なんです。」

🔴 保護者

「そこで、『じゃあ学校も行ってみる?』と言わない方がいいんですよね。」

🔵 講師

「そこは、とても大切です。」

「子どもが一歩動いた瞬間に、大人が十歩先を求めてしまうことがあります。」

「外へ出られた。」

「だったら学校へ。」

「勉強できた。」

「だったら一時間やろう。」

「友達と話せた。」

「だったら教室へ戻れるのでは。」

「そうやって先へ先へ進めようとすると、子どもは『少し動いたら、また期待される』と感じてしまうことがあります。」

🔴 保護者

「……私、やりそうです。」

🔵 講師

「多くの保護者がそうなります。」

「子どもが少し元気になるとうれしいですから、『今なら戻れるかもしれない』と思うんですよね。」

「でも、そこで大切なのは、その一歩を一歩のまま認めることです。」

「今日は外へ出られた。」

「今日はそれでいい。」

「明日どうするかは、明日考えればいいんです。」


久しぶりに出てきた「やってみようかな」

それからしばらくして、お母さんから連絡がありました。

家庭での関わり方を少しずつ変えてみたという報告でした。

学校について尋ねる回数を減らし、夕食では好きなアニメやゲーム、昔家族で出かけた時の話などをするようにしたそうです。

何か手伝ってくれた時にも、大げさに褒めるのではなく、

「ありがとう。」

「助かったよ。」

と自然に伝えるようにしました。

すぐに大きな変化が起きたわけではありません。

学校にもまだ行っていません。

勉強を再開したわけでもありません。

しかし、ある日の夕方、息子が久しぶりにスケッチブックを持ってリビングへ来ました。

🔴 保護者

「先生、息子が絵を描いたんです。」

🔵 講師

「以前好きだった絵ですね。」

🔴 保護者

「はい。」

「私、うれしくなって『すごいじゃない! やっぱり上手だよ!』って言いそうになったんです。」

「でも、少し我慢しました。」

🔵 講師

「何と声をかけたんですか。」

🔴 保護者

「『久しぶりに描いたんだね』って。」

「そうしたら息子が、

『うん。何となく描きたくなった。』

って言ったんです。」

🔵 講師

「それは大切な変化ですね。」

🔴 保護者

「それから少しして、

『下手になったかもしれないけど、また描こうかな。』

と言いました。」

「以前だったら『どうせ下手だから』で終わっていたんです。」

「だから、その言葉を聞いた時、少し変わってきたのかなと思いました。」

🔵 講師

「『下手かもしれないけど、やってみる』と思えた。」

「そこが重要なんです。」

「自己肯定感というのは、『自分は絶対に上手だ』と思えることではありません。」

「うまくできないかもしれない。」

「失敗するかもしれない。」

「それでも、やってみてもいい。」

「そう思えることも、自己肯定感が回復している大切なサインです。」

「できなくても自分の価値は変わらない」と思えるまで

🔴 保護者

「先生、私は自己肯定感というものを勘違いしていたかもしれません。」

🔵 講師

「どんなふうにですか。」

🔴 保護者

「自信満々になることだと思っていました。」

「『自分ならできる』と思えるようにしてあげなきゃ、と。」

「だから『あなたならできるよ』『自信を持って』と何度も言っていました。」

🔵 講師

「もちろん、『できる』と思えることも大切です。」

「でも、それだけではないんです。」

「できなかった時にも、

『だからといって、自分の全部がダメなわけじゃない』

と思えること。」

「失敗した時にも、

『もう一回やってみてもいい』

と思えること。」

「つらい時には、

『誰かに助けてもらってもいい』

と思えること。」

「そうした感覚も、とても大切です。」

🔴 保護者

「学校へ行けるようにならないと、自己肯定感は戻らないと思っていました。」

🔵 講師

「逆かもしれません。」

「学校へ行けるようになったから自分を認められるのではなく、まず『今の自分でも大丈夫』と思えるようになる。」

「その安心感があるからこそ、次の行動に挑戦できるようになることがあります。」

🔴 保護者

「学校へ行けるようにしてから自信を取り戻すのではなく、自信を取り戻していく中で、次のことを考えられるようになるんですね。」

🔵 講師

「そうです。」

「そして、その『次のこと』は必ずしも最初から学校である必要はありません。」

「生活リズムを少し整えることかもしれない。」

「好きなことを再開することかもしれない。」

「勉強を五分だけやってみることかもしれない。」

「家族以外の人と話してみることかもしれません。」

「その子にとっての一歩を、一緒に見つけていけばいいんです。」

🔴 保護者

「私も、息子が学校へ行けるかどうかだけを見ないようにしてみます。」

🔵 講師

「それでいいと思います。」

「学校へ行けない日にも、お子さんの中ではいろいろな変化が起きています。」

「その小さな変化を見つけてあげてください。」

🔴 保護者

「そして、できない日があっても大丈夫だと。」

🔵 講師

「はい。」

「『できたから大切』なのではありません。」

「『できない日があっても大切』なんです。」

お母さんは、その言葉を聞いて静かにうなずきました。

これまで、お子さんに自信を取り戻してほしいと願いながら、いつの間にか「できるようになること」ばかりを求めていたことに気づいたのです。

自己肯定感を回復させるために必要なのは、大きな成功を経験させることだけではありません。

学校へ行けない日も。

勉強できない日も。

何もしたくない日も。

「それでも自分には居場所がある。」

そう感じられる毎日を積み重ねることです。

おわりに

不登校になると、子どもは「学校へ行けない」という一つの出来事から、自分自身のすべてを否定するようになることがあります。

「みんなはできているのに、自分にはできない。」

「親に迷惑をかけている。」

「何をやっても自分はダメだ。」

こうした思いが積み重なることで、自己肯定感は少しずつ下がっていきます。

だからこそ、回復もまた、小さな積み重ねから始まります。

「ありがとう。」

「助かったよ。」

「今日は少し話せたね。」

そんな日常の言葉や経験を通して、子どもは少しずつ「自分にもできることがある」と気づいていきます。

そして同時に、

「できないことがあっても、自分の価値は変わらない」

という感覚を育てていくことが大切です。

自己肯定感が回復するということは、何でも自信を持ってできるようになることではありません。

失敗するかもしれなくても、「やってみようかな」と思えること。

できなかった時にも、「また今度やってみよう」と思えること。

苦しい時には、「助けて」と言ってもいいと思えること。

そうした小さな変化が積み重なった先に、子ども自身が自分の未来をもう一度考え始める力が育っていくのです。

理論編はこちらから

⑦ 自己肯定感が下がるメカニズム(理論編)

はじめに 「学校へ行けなくなってから、子どもが『どうせ自分なんて』と言うようになりました」 「以前はもっと自信があったのに、何をするにも『無理』『できない』と言います」 不登校の相談では、このようなお話を聞くことがありま […]

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